ニュージーランドのワイン産地

ニュージーランドワインについて
日本から飛行機で約11時間、日本の北海道と九州を除いたような地形のニュージーランド。
南半球に位置し雄大な自然と、人口よりも羊が多い国という印象をお持ちの方が多いのではないでしょうか。
ワイン業界ではその知名度は徐々に上がってきています。
生産量は全世界の0.3%程度で、欧州の伝統国と比べるとワインの歴史は浅いですが、近年国内外の著名なコンテストで数々の賞を受賞するなど、その評価は急上昇しています。
ニュージーランドといえば ソーヴィニョン・ブラン、ピノ・ノワールが代表品種と言えます。
1970年代マールボロ地区で造られたソーヴィニョン・ブランが国際的なワイン品評会で最優秀賞を受賞したのを機に、ワイン通の中で注目され、ニュージーランドワイン自体も瞬く間に成長しました。
ニュージーランドの気候とブドウ栽培への影響
ニュージーランドは南半球にあるため日本とは季節が逆となり、12月・1月・2月が夏季、7月・8月・9月が冬季となります。
日本と同じように南北に伸びている細長い島国で、周りを海に囲まれています。
そのため全体的に温暖な気候に恵まれています。北部は亜熱帯、南部は温帯に属しています。
ニュージーランドの気候の特徴として、一日の中に四季があるといわれるほど気象の変化に
富んでいます。
日照時間は年間2,000時間を超える地域がほとんどです。
サマータイムを利用していて、通常日本との時差は+3時間、夏場+4時間となり、夏の太陽が沈むのは21時を過ぎてからの日もあります。
ブドウ栽培において、この日照時間が多いこと、朝晩の気温が下がること、ブドウの成熟期間が長いことが重なり、ブドウは糖度と風味の完熟度が高くなる一方で酸味を保持できるようになります。
ニュージーランドのワイン産地

北島
ノースランド(Northland)
ニュージーランドのワインの歴史は、1819年このエリアにブドウが初めて植えられたことで
スタートしました。
この地方はニュージーランド内でも最も温暖なエリアで、高温を好むブドウ品種が栽培されています。黒ブドウはカベルネ・ソーヴィニョンやメルロー、白ブドウだと熟度の高いシャルドネなどが多く生産されています。
このエリアで面白いのは、ニュージーランドでは珍しいピノタージュやシャンブルサンが栽培されています。
このシャンブルサンというブドウは、私も今回調べて初めて知った品種です。
まだ出会ってないので、どんな味わいかわかりませんがハイブリッド交配(異種交配)によりできた黒ブドウのようです。
オークランド(Auckland)
ノースランドのすぐ南に隣接する、ニュージーランド最大都市オークランド。
大手ワインメーカーが点在するエリアです。「Villa Maria/ヴィラ・マリア」というワイナリーは聞いたことがあるのではないでしょうか。
このエリアで特に有名なのは、オークランドの中心部からフェリーで約40分、東に位置するワイヘキ・アイランド。ワイナリーのメッカで、大小さまざまなワイナリーが30程存在しており、赤ワインで名声を上げています。
この素晴らしい場所にあるのが、われらが「Man O’ War」!!
周囲133㎞のこの島の東端にあるワイナリーは、目の前にこんなきれいな海が広がります。
オークランドのセレブは、週末この桟橋に自家用クルーザーなどでワインを楽しみに来ることもあるそうです。う~ん、うらやましい。。。
ホークス・ベイ(Hawke’s Bay)
アールデコ様式の建物がたくさん並んでいるヘイスティングス(Hastings)とネイピア(Napier)の街に近く、北島の東海岸にかる河口の平地に位置するホークス・ベイ。
ホークス・ベイは肥沃な土壌と温暖な気候を活かしたワイン生産が盛んで、日照時間もニュージーランドでは最長です。
マールボロ地区に次ぐ、ニュージーランド2番目の栽培規模を誇っています。
土壌や畑の方角、標高に関しては特に多様性に富んでおり、その結果ワインのスタイルも様々。
赤では、カベルネ・ソーヴィニョン、メルロー、シラー、そして白ではシャルドネが特に有名な品種です。
特筆すべきは、 ギムレット・グラヴェル(Gimblet Gravels) という土壌です。
グラヴェルとは石ころの意味で、つまりは砂利の土壌ということ。
石質土壌は水はけがよく、熱吸収が高いという特徴を持っています。
この地域はボルドー・スタイルで造られるメルローとカベルネ・ソーヴィニョンのブレンドワインで有名になりました。
ギムレット・グラヴェル上空から ギムレット・グラヴェル入口の看板
ギムレット・グラヴェルのブドウ畑 ギムレット・グラヴェルのMillsReef社所有の畑
ギズボーン(Gisborne)
ギズボーンは世界で最も東に位置するワインの生産地です。
ここは国際日付変更線に最も近い場所なので「世界で一番早く日の出が見られる街」としても有名です。
ブドウの生育期には降水量は多いものの、温暖な気候で日照時間も長いためブドウの栽培には適した環境と言えるでしょう。
そして温暖な土地柄、リゾート地としても親しまれています。
ここで栽培されているブドウの半分以上はシャルドネ種で、熟したトロピカルフルーツの風味が特徴です。その他にも、高品質のゲヴュルツトラミネールやフルボディのピノ・グリも少量生産されています。
ワイララパ(Wairarapa)
1980年代からワインを通リ始めた、比較的新しいワイン産地です。
二つの山脈に囲まれた、北島で一番冷涼な土地で、小規模ワイナリーが点在するエリアです。
夏は高温になることもありますが、日較差が大きくピノ・ノワールやソーヴィニョン・ブランの栽培に適しています。
ワイララパの中でも有名なのは、マーティンボロ(Martinborough)。
ここは特にピノ・ノワールで世界的な名声を得ています。
この土地のピノ・ノワールはミディアムからフルボディで、熟した果実風味がありダークプラムや香辛料のアロマが特徴のワインが生産されています。
南島
南島は北島より冷涼な気候です。そのため、南島のブドウ栽培地は東側に位置するところが多くなっています。南島の中央を走る南アルプス山脈によって雨を運ぶ西風から守られています。が、やはり降水量は多く、成熟期には生産者の頭を悩ませます。しかし、土壌の水はけの良さが救いとなっています。
マールボロ(Marlborough)
ニュージーランドのブドウ栽培の中心地であるマールボロ。国内最長の日照時間と水捌けがよくミネラルを豊富に含んだ土壌はブドウの栽培に最適と言われています。栽培されているブドウの大半はソーヴィニョン・ブランです。
そしてこの地で誕生したソーヴィニョン・ブランによって、ニュージーランドワインは国際舞台で脚光を浴びるようになりました。
その舞台となるブドウ畑のほとんどは、隣接する二つの河口の渓谷、ワイラウ・ヴァレー(Wairau Valley)とアワテレ・ヴァレー(Awatere Valley)にあります。
ワイラウ・ヴァレーのほうが規模が大きく広いため、さまざまな方角・標高をもたらし、気候は均一ではありません。ここで生まれるソーヴィニョン・ブランはトロピカルフルーツの風味をもち、活き活きとした酸が特徴です。
一方、アワテレ・ヴァレーはワイラウよりも乾燥していて、冷たい風が強くなっています。そのため、ここで産出されるソーヴィニョン・ブランは、より高い酸味と強い草の特徴を持っています。
毎年2月には「マールボロ・ワイン&フード・フェスティバル」が行われ、地元ワインとマッスル(ムール貝)料理のマリアージュが楽しめます。
機会があれば、ぜひ足を運んでみてください。
シャルドネやピノ・ノワールも広く栽培されていて、特に、この地で栽培されるピノ・ノワールはミディアムボディで、洗練されたタンニンとチェリーやクランベリーの風味を持つことが多く、この品種に注目する生産者が増え、ますます印象的なワインが続々と誕生しています。

ネルソン(Nelson)
南島では東岸に位置する産地が多いなかで、ネルソンは北西部に位置しています。マールボロ地区よりも冷涼で雨は多いですが、「サニーネルソン」という愛称で親しまれるほど日照時間が長い地域です。そのため、果樹園が多いことでも有名なエリアです。ここでは小規模ながら質の高い個人経営のブティック・ワイナリーがたくさんあります。
ソーヴィニョン・ブランやピノ・ノワール、シャルドネが栽培されていますが、リースリングやピノ・グリといったアロマティック品種も成功しています。

カンタベリー(Canterbury)
カンタベリーのブドウ栽培の中心地は2か所。1970年代後半からワイン産地であるクライストチャーチと近年急成長を遂げているワイパラ・ヴァレーです。
クライストチャーチは太平洋からの冷涼な風による影響を受けますが、ワイパラ・ヴァレーは丘陵地帯にあるため海洋の影響を受けにくく、北西風による暖かい風の恩恵を受けやすくなっています。
ソーヴィニョン・ブランとピノ・ノワールがもっとも多く栽培されいてる、ワイパラ・ヴァレーでは上質のリースリングが注目されています。

セントラル・オタゴ(Central Otago)
ゴールドラッシュ時代に築かれた町がたくさんあり、金の採掘で賑わった時代の名残を残しているセントラル・オタゴ。
ワイン界におけるセントラル・オタゴは、世界最南端にあるワイン産地です。
内陸部に位置し、南アルプスの丘陵地帯にブドウ栽培地が広がります。方角も土壌も標高も異なるいくつもの渓谷を含む広大な範囲に広がっています。
ニュージーランドの他のエリアとは異なりセントラル・オタゴは大陸性気候で、朝晩と夜また季節による気温差が激しくなっています。そして日射が非常に強いため、ここで産出されるワインはアルコール度が高くなることが特徴です。
このエリアで最も有名な品種はピノ・ノワールです。凝縮感のある熟した赤系果実の風味をもち、ジューシーで力強いフルボディのワインが特徴です。
そのほかにもピノ・グリ、リースリング。シャルドネが造られています。